2009/09/19 朝日新聞

草野球の夢 海渡るマリナーズを説得5年 本拠借りた
スラッガーズのおっちゃんら20人 イチローの右翼「オレや」

日本の草野球の愛好者20人が19日に渡米し、大リーグのシアトル・マリナーズの本拠地セーフコフィールドで試合をする。球団を5年がかりで説得し、一途なあこがれを実らせた。気分は「草野球のサムライ」。イチローの守備位置ライトは、「オレが守る」と争奪戦になっている。

企画したのは、大阪市中央区の吉崎賢博さん(44)。阪神甲子園球場や東京ドームなど、プロが使う球場を会場にした草野球の全国大会「KUSA1」を03年に立ち上げた。

ドーム巡り 甲子園も
「プロが使う球場でやってみたいよなー」。KUSA1発足のきっかけは01年、飲み会での冗談話だった。当時吉崎さんが仕事仲間でつくった「典型的なおっさんチーム」飛び抜けてうまい選手もおらず、練習場所は河川敷。和気あいあいと楽しむのがモットーだったが、何か、刺激が欲しかった。念のため調べると、京セラドーム大阪は、真夜中なら2時間約10万円で借りられることがわかった。ひとり数千円ずつ払い、午前0時、胸を高鳴らせてドーム入り。天井が高い。外野が遠い。「地に足つかず、ふわふわした気持ちだった」。グランドに寝っ転がって深呼吸してみた。
「野球ピラミッドの最底辺の自分たちが、プロと同じ場所に立っている」。それだけで、いつもよりうまくなった気がした。ユーレイ部員も好奇心を抑えられずにやってきた。家族らは眠い目をこすりながら、ベンチから声援を送った。みんなで共有する充実感と一体感。
「これだ」。やみつきになり、名古屋、福岡、東京などのドームに遠征した。03年に「KUSA1」を始めると口コミで評判が広がり、全国の約200チームが参加する大会になった。
甲子園球場での試合も実現して、一通りの「聖地巡礼」が済んだ04年、「次は大リーグにいくか」。だが思わぬ壁が。米国では、空き時間に球場を貸し出す発想がない。マリナーズなど複数の球団に電話をかけたが、相手にしてもらえなかった。
吉崎さんはめげずに英語版のホームページを作り、「KUSA1」の活動を紹介しながら、電話やメールで地道に呼びかけた。マリナーズが日系人の球団職員を介して耳を傾けてくれたのが07年秋。その後も芝生の養生を理由に断られたり、日程調整に手間取ったりしたが、ようやく大型連休「シルバーウイーク」にあわせて前代未聞の遠征が決まった。「ねばり強く訴えたことで、『この人ら本気なんや』とわかってもらえた」

「いい年しても少年」
渡米するのは、KUSA1の全国大会で準優勝経験もある大阪の草野球チーム「スラッガーズ」のメンバーら約20人。21日、米国のクラブチームや現地在住の日本人らを相手に2試合する。費用は一人あたり約30万円。石川哲也監督(49)は「みんな、『オレがイチローのライトを守る』とうるさい。ローテーションにします」と苦笑する。
右翼手の会社員今井優さん(26)=大阪市八尾市=は英語で選手宣誓をする。「国籍や言葉は関係ない。野球でつながろう」と呼びかけるつもりだ。「いい年しても、中身は野球少年のまんまなんです。1球目はとにかく振るスイングでいきます」

2008/08/30 日本経済新聞

NIKKEI PLUS1 ゆとリッチ 夢見るオフタイム
ドーム球場で草野球 気分はもうプロ野球選手!

「前日は興奮して眠れなかった。一夜だけだがプロ野球選手気分を味わえた」
東京の山中幸一さん(40)は、七月、念願だった東京ドームのグラウンドで野球をする夢をかなえた。草野球チームを結成して六年。山中さんにとって、プロ野球選手と同じ場所でプレーすることは、野球少年だった当時からの夢だった。

プロ野球が行われる野球場の多くは、試合やイベントがない時には、一般にも貸出している。例えば東京ドームの場合は、平日なら二時間三十六万七千五百円から。審判や場内アナウンス、電光スコアボードの使用などは別料金が必要だ。

もっとも、お金を払って試合をしてくれる相手を探すのは結構大変だ。さらに探してみると、その問題を解決する方法が見つかった。草野球ワン(大阪府枚方市)が主催する、全国五ヶ所のドーム球場と甲子園球場で催される草野球トーナメント「KUSA1(クサワン)」だ。

「上手下手に関係なく、ドームで野球をする感動をみんなで共有したい」(主宰者の吉崎賢博さん)と、八年前から始まった。出場資格は特に設けていない。チーム当たりの一ゲーム参加費用はおおよそ十万~十五万円程度。メンバー十人で出場した山中さんのチームは一人当り一万五千七百円を負担した。だが「金額には換算できない、貴重な体験ができた」と大満足。野球ファンなら、一度は経験してみたくなるのでは。

【表】ドーム球場で草野球の夢、かなえるなら…
KUSA1
トーナメント戦は札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5ドームと甲子園球場で開催している
http://www.kusa1.com
問)090・8887・4856(吉崎)

2006/07/29 日本経済新聞

ゆとりライフ あこがれの舞台に立つ

プロ野球選手が日々、華麗な技を披露する東京ドーム(文京区)。
月に1、2回ドーム球場を利用しているという吉崎賢博さんは、草野球チームの全国大会「KUSA1(クサワン)」を主宰している。吉崎さんは「あこがれの選手が使う夢の舞台で試合ができるし、その喜びを仲間で共有できる」ことが利用の醍醐味(だいごみ)だと話す。

2006/06/24 読売ウイークリー(2006年7月2日号)

「日本列島ほあなたの夢をかなえます!「幸せプラン」続々

ドームで草野球
野球ファンの夢の舞台、東京ドームで草野球をしようという夢なら十分にかなえられる。東京ドームは、試合やイベントのないときなら一般の人でも借りられる。たとえば、土・日・祝日の7時から16時50分までの間なら、料金は2時間20分で約47万円。両ナイン18人で割れば1人あたり3万円弱。ドームの広さを知るだけでも野球観が変わりそうだ。
「まさに夢の舞台でした。普段、憧れの選手たちがプレーしているグラウンドは、とてつもなく大きくて、そんな球場でプレーする感動は格別ですね。年に1回はプレーしたいですね。」と、ドーム球場での草野球トーナメント「KUSA1」を主催する吉崎賢博さんは言う。

2004/09/24 日本経済新聞

草野球、ドームでプロ気分 日本一争う大会も登場

大阪ドームでの試合に臨む
草野球チームのメンバー

「ドームというのは本当に夢の舞台。あの高揚感は忘れられない。大感動でした」。
5年前に初めて体験したという吉崎賢博さんはドーム野球の魅力を口にする。最初は記念のつもりで「写真やビデオ撮影などをし、年末の飲み会で盛り上がろう」という感じ。だが一度体験すると、すっかり魅了されてしまった。
 今では大阪ドームで定期的にトーナメントを主催するほど。今年はこれまでに11回のトーナメントを開催し、44チームが参加した。
さらに東京ドームなど各地のドームで野球をする草野球仲間に声を掛け、KUSA1という事務局まで立ち上げた。昨年から全国の各ドーム大会優勝チームが草野球の日本一を争うまでになった。「決勝は11月27日に甲子園でやります。国歌吹奏や花束贈呈など、本格的ですよ」と吉崎さんは話す。

2003/11/11 読売新聞

真夜中の草野球 「私たちの夢舞台 聖地に」

11月上旬。真夜中の大阪ドームで草野球のトーナメント大会が行われた。
大阪、東京、札幌3地区の予選を勝ち抜いた上位4チームによる準決勝は、1試合目が午前0時過ぎに始まり、2試合目が終わったのは午前4時前だった。
代表事務局の吉崎賢博さんも、真夜中の試合を観戦。「こんな遅くに野球するなんて、アホでしょう。でも、みんなほんまに野球が好きなんです」。豪快に笑う吉崎さんは、さらにこう続けた。「私たちにとって、ここは夢舞台。天候にも左右されず、深夜に声を張り上げられるのもドームならでは。大阪ドームを深夜草野球の聖地にしたいですね」